第四回 楽園追放

 「骨で感じるんだ」

 続いて書いていくのは映画「楽園追放」です。

 この映画かなり評判良かったみたいです。私が、見たのはつい最近ですが……

 冒頭は旧人間代表のディンゴのセリフですね。あっちなみにデータ化された方が新人間としておきます。

 直前でも書きましたが、この映画のテーマは「人間のデータ化」としても良いのではないでしょうか?

 これは実際に私たちにも近づいてきてますよね。脳をデータにして不老不死を手に入れる日も近いと聞きます。

 その世界がはたして正しいのかどうか、こういったところをこの映画は描いています。

 タイトルからして楽園追放なので、作者は旧人間を押しているように思えますが、私もそうです。というかここ最近は心身を分けて考えるのではなく、体あっての心ということで、体の重要性も見直されてきているようです。

 ただこのデータ化には様々な利点があるのも事実です。

 映画ではデータ化によって人口と資源の問題も解決されたと、アンジェラは言っています。これは避けられない事実であり、非常に魅力的な話ですね。そして人間はこの楽園に向かっていく動きは止めないと思います。

 ですがその向かっていく中で考えていかなければいけない問題が、人間性をどこに求めるか、という事ですね。

 私たち人間は何であるか。この命題に全人類が挑む時が近づいてきているのではないでしょうか?

 映画の話からだいぶそれてしまいましたね。次からはもう少し映画そのものに迫っていきたいと思います。

第三回 <harmony/>

 お久しぶりです。引き続きまして第三回は映画<harmony/>についてお話していこうと思います。

 この映画は近未来を描いているんですが、その手のものの中でも少々異色を放っている映画だと私は考えました。

 何が違うのか?

 近未来を題材とした作品の多くは、人型ロボットがありふれた社会や科学が発展した社会と言うものを描いています。

 ですがこの<harmony/>がメインで扱っているのは「ワォッチミー」という機器によって支配された社会について描いています。これの何がすごいかと言うと、ポストモダンのこれからをリアルに描いていると考えられるからです。

 生まれた時から国に監視されて、国が良いと思う行為に終始する。国が望む行為をし、そうすることが正しいと信じられている世界。

 個性がどうこうと叫ばれている今の世の中ですが、日本が向かっている未来はむしろこの<harmony/>の世界だと思います。

 周りと違う行動をすることに非常に抵抗感をもつようになってきた、というのは否定しようがありません。周りと同じことをすると褒められ、そしてそうする方が楽です。

 この流れでいくと、最後には国民全員が良いとされる規範に従い、同じ価値観を共有し、同じ行動をとるようになっていく。

 この世界の流れを、主人公のトァンとその親友のミァハによって批判させていくのが<harmony/>と映画です。

 ひとまず多くの国々で望まれた「自由」は獲得されました。

 しかしその「自由」は少なくとも日本では理想郷になりえなかったことは今の日本人を見ていれば明らかです。全員が幸せだとは思えないからです。

 もちろんだからと言って戦争をしようと言いたいわけではありません。

 ですが確実に次の「理想」と思われるものへ向かっていかなければ、無気力な日本人は増えていく一方だと思います。

 その答えの一つがこの<harmony/>の世界なんだと思います。私には作者と同じように、、この世界が良いと思えませんが。

 しかしまだその答えは見つかっておりません。

 日本のトップの人たちには、ただ政治をやるだけではなく、今後の道しるべになってもらいたいです。

第二回 恋と嘘 1から4

 好きって何?

 さて、第二回ですが、お題は本日発売の「恋と嘘」の四巻です! するつもりはなかったのですが急きょ漫画のレビューをすることにしました。

 三巻を読んでから四巻の発売日を今か今かと待って、発売日の今日購入。普段ならすぐ読んでしまうところですが、今日は我慢して、夜やることが全て終了してじっくり楽しめる時間まで読みませんでした。

 そして、読み終わりこれは感想を書くしかない。いや、これは私の使命なのだ! とベットから飛び起きて、今に至るわけです。

 ……今日発売とか言ってますけど、これ日付が変わる前に書き終わるのかな? 善処します。

 

 そろそろ漫画の話に入っていきましょう。

 国が結婚相手を決める社会で、決められた女の子と、元から好きで両想いの女の子の間で悩む主人公を描いた恋愛青春ストーリーをベースとして話は進んでいきます。

 この漫画が、ほかの青春恋愛漫画と相対的に比べて、優れていると私が思うところは、今言った国が結婚相手を決めるという設定……そのものと言うより、そこから生み出される深み、これだと考えています。

 一般的な恋愛漫画だとどうしても、誰が好きで誰と付き合ってと言うところがメイン、どころか話の大部分になりますよね? ほとんど寄り道はありません。ああ、もちろん私はそれも大好物ですよ! 

 しかし「恋と嘘」はそこにワンスパイス、自分ではどうしようもない場所からの介入があるんですね。

 この設定、実は近いことは私も考えたことがあります。少子化? それなら国が相手を決めちゃって無理やり子供作らせればいいじゃん!

 でもムサヲさんはもう一工夫したんですね。国が決める相手をその人にとって運命的に相性の合う人にしたんです。なんて優しいんでしょう。本当に素晴らしいアイディアです!

 そしてこの設定を入れたことによって、メインはもちろん登場キャラの恋愛模様なんですが、この設定をめぐっての考察、そして伏線が漫画にちりばめることができるんです。これで恋愛漫画に、謎を残してストーリーを進めていけるんですね。

 

 でも私がこれをお勧めしたい理由はもっと単純です。

 

 ……ねえ”好き”って何?

 

 哲学ですね。もう哲学ですよ。このセリフ四巻で二回も出てきました。冒頭に書いたのが高崎さんでこの上に書いてあるのがゆかりが言ったセリフですね。二人が葛藤して葛藤して漏れたこの言葉。この言葉だけで一日でも、もしかしたら一生語ることができるのかもしれません。それほど大きくて、でも私たち全員の胸に刺さる言葉ですよね。

 好きって何でしょうか。これそのものについて語るのは漫画の感想、あるいは評論ではなくなってしまうので、ここでは止めておきます。もちろんいつか語りたいなとは思っていますけどね。

 なので上に書いたこの漫画でのセリフに注目して語っていきたいと思います。

 というか日付普通に変わりましたね……九日に買って、書き出したんだっていう私の熱意だけは覚えておいてくださいね!

 はい、話を戻します。

 私がこの四巻で気になったのは、高崎さんとゆかりのセリフ。一見同じようなことを言っている気がしますね。でもここに作者の意図が垣間見えると思うのは私の深読みでしょうか?

 漫画通りの順番で行くと、先にゆかりが言った「…ねえ”好き”って何?」というセリフが来るんです。このセリフはかなり哲学だと思うんですよ。

 もう一人のヒロイン、りりなが政府通知の相手として現れて、彼女と過ごすうちにゆかりの心の中にりりなを思う気持ちが芽生えます。

 けれども自分の高崎さんを思う気持ちは変わらないし、ずっと好きでした。今も高崎さんに好きと言われてきっと本当にうれしいんだと思います。

 でもだからこそ、この二人へ向いている思いが何か違う色を持っているのは理解していながら、だんだんどちらが好きなのか分からなくなる。というよりその二人への思いの強さが近づき始めます。

 でもどちらかが特別というわけではありません。二人への思いの性質は少し異なっているから。

 だからこそ無自覚に悩むわけです。

 

 ”好き”とはいったいどんな気持ちのことをいうのだろうか? 何なのだろうか? どうしたら唯一の”好き”なのだろうか? 

 

 では、高崎さんのセリフもゆかりと一緒なのでしょうか? 私はそうは思いません。

 彼女のセリフはこうでした。

 好きって何?

 ゆかりと違って好きに「””」がついていないのに気づいたでしょうか?

 彼女がこの言葉を発するまでの流れを少し見てみます。

 まず先ほど取り上げたゆかりのセリフに対して答えを返すところからです。ゆかりの”好き”って何? と言うセリフに高崎さんは自分が抱いてきたゆかりへの思いを言葉にします。

 彼女の中の葛藤、そして好きになればなるほど辛くなっていって、触れられれば触れられるほどうれしいのにそのあと苦しくなるという気持ち。

 そんな気持ちや我慢が爆発して、好きって何? と言うセリフに至るわけですね。

 ゆかりが、そもそも好きという気持ち、それ自体がどういうものなんだろうと悩むのに対して、高崎さんはゆかりが「好き」と言うのは分かっていて、そのうえでどうして好きなのに辛くなるのか、好きってなんなんだという叫びのような印象を受けました。

 だからゆかりの方には好きという概念そのものに疑問を持っているから「””」がついていて、高崎さんの方はそうではないということで区別されているのではないか? と考えました。

 ここでは深く取り上げませんが、仁坂についてもかなり考察のし甲斐がありそうですが、肝心なところはかなり隠されてしまっているのでまたの機会にします。

 きっと恋と嘘においてムサヲさんなり「”好き”とは何か」につての答えを出してくれるはずです。私はかなーり楽しみにしています。

 ただ、そう思うのはちょっとせつないんですが……”好き”とは何か。こう考えている私はその時点で、「本当の恋」にはまだ出会えてないのかもしれません。本当の恋に出会っていたらあるいは認めることができていたら、それこそ高崎さんのよう好きと言う感情とは何か? そんな哲学的なことについては悩まないのかもしれません。 

 こんな風に最後は少し湿っぽくしめさせていただきます。

 少しは評論らしくなったでしょうか? 

 最後までお付き合いありがとうございます。

 それではまた次回。

第一回 「心が叫びたがってるんだ」

 記念すべき一回目は、映画「心が叫びたがってるんだ」について語っていきます。

 十億円の大台を突破したこの作品、あの花のスタッフさん制作ということで話題になりましたね。

 あまりに有名なアニメに、何か抵抗感を持ってしまうひねくれた私があの花を見たのはかなり最近のことです。そんな抵抗もむなしく、泣かせにきてると分かっていながら泣いてしまいました。

 そんなスタッフ陣のオリジナル映画ということで、見逃すわけにはいかなかったのですが、見たのは結局つい先週になってしまいました……

 それには様々な理由があったのですがその一つがpvでした。

 映画という事で一般層を獲得しようとしたためか「青春」を押しすぎていた気がしたんですね。ここでもまた私のひねくれ具合が出てしまいました。はいはいどうせお涙頂戴系ね、と見ないで避けてしまったのです。

 ですがここまで話題になってしまったら見なければと、謎の義務感からTSUTAYAで借りて見てみると……

お も し ろ い

 この一言でしたよねはい。すぐBlu-rayで新品を注文。あの花を見た時の気持ちを完全に忘れてました。何と言おうと、使い古された題材を使おうと、このスタッフが作るものは面白いんです。

 

 さて、そろそろ本題に入ります。

 この映画は高校生四人を中心に据えた青春群青劇なわけですが、ここまで綺麗に、かつ少し切なく、そしてとてつもなく面白く青春を描ききってしまうことのすごさ、分かっていただけるでしょうか? 

 ……そうですよね。そのすごさを私が説明するべきなんですよね。もちろん分かってますよ? 

 映画で青春を描こうとすると、二時間でおもしろくするために、どうしても恋愛に偏ったり、家族問題だけに特化してそれを解決することで感動を呼んだり、あるいは奇をてらった作品にしたり。そんな風に別れてしまいがちです。

 が、ここさけは違いました。もちろん、成瀬順という女の子のおしゃべりが原因の一つとなり、家族がばらばらになるところから話は始まっていくのですが、家族問題に終始しないんですね。

 高校生の複雑な心の問題を少しづつ解決していきながら、みんなで劇を作っていく。その過程で恋愛を良いスパイスとして絡めて、本当にうまくまとまっていました。

 全体として一番感じたのは、世界観の綺麗さ

 必要以上に重くなりすぎず、それでいながらここさけの世界に、見ているものを引き込んでいく。

 最初、卵の神様が綺麗な世界には違和感を持たせてしまっているような気がしました。しかし、あれを成瀬の心の中の葛藤だとすると、きちんと世界に馴染んでくれました。確かに成瀬の心の中での対話なのに、リアル悪魔のようなものを登場させても、それこそ違和感しかありませんしね。成瀬の心は非常にロマンチックで、何か不思議な世界観でした。それを頭に入れてみてみると、何度も出てきた「スクランブルエッグ」という言葉も納得できます。

 映画を通して、葛藤しながらそれぞれの問題に対して、各個人がきちんと向き合って解決させていきながら、最後のところでもう一度かき混ぜる、「スクランブルエッグ」にするストーリーは本当にまさかと驚かされました。てっきりそのまま流されて終わりかと思いきや、そこはしっかり選ばせる。

……ネタバレなしに行こうと思ったのですが、無理なので諦めていいですか? いや諦めます。すみません!

 はい話に戻ります。さっき何が言いたかったのかといいますと、この映画に出てくるもう一人のメインの女の子、仁藤のことを坂上が選ぶ、この展開が、ここさけをもう一段階面白くしている理由なんだと思います。

 そして欠かせない田崎という男キャラ。彼の問題は他の三人と重なっているようであまり重なってはないんですね。でもそこを、軽く扱うこともなく、それでいて邪魔になるほど重くするのではなく見事しか言いようのない配分でした。

 

 話がとっ散らかってしまいましたが、まとめです。

 ここさけは甲子園を目指したり、家族崩壊のすべてを解決したりとかそんな壮大な物語ではありません。

 しかしより身近な、本当に青春特有の綺麗さを私たちに見せてくれます。

 視聴者の私たちは見た後、心が叫んだあとのように、何か晴れやかな気分になっています。

 おあとがよろしいようなので、第一回はこの辺りにさせていただきます。少しづつ中身も充実していったらなと思います。

 付き合ってくださった方、どうもありがとうございます。

 また次回。失礼します。

 

ブログをはじめるにあたって!

 このブログでは基本的にレビュー、あるいは評論の様な物をお届けしていきたいと思っています。

 その対象は、アニメ映画と本(これはジャンルを問わず)です。

 前後一週間以内に見たものを対象にするつもりです! もし、何か好きな作品があってそれについての感想が欲しいなどがありましたら、ぜひ言ってください! バンバン見たり読んでいきます。

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