第一回 「心が叫びたがってるんだ」
記念すべき一回目は、映画「心が叫びたがってるんだ」について語っていきます。
十億円の大台を突破したこの作品、あの花のスタッフさん制作ということで話題になりましたね。
あまりに有名なアニメに、何か抵抗感を持ってしまうひねくれた私があの花を見たのはかなり最近のことです。そんな抵抗もむなしく、泣かせにきてると分かっていながら泣いてしまいました。
そんなスタッフ陣のオリジナル映画ということで、見逃すわけにはいかなかったのですが、見たのは結局つい先週になってしまいました……
それには様々な理由があったのですがその一つがpvでした。
映画という事で一般層を獲得しようとしたためか「青春」を押しすぎていた気がしたんですね。ここでもまた私のひねくれ具合が出てしまいました。はいはいどうせお涙頂戴系ね、と見ないで避けてしまったのです。
ですがここまで話題になってしまったら見なければと、謎の義務感からTSUTAYAで借りて見てみると……
お も し ろ い
この一言でしたよねはい。すぐBlu-rayで新品を注文。あの花を見た時の気持ちを完全に忘れてました。何と言おうと、使い古された題材を使おうと、このスタッフが作るものは面白いんです。
さて、そろそろ本題に入ります。
この映画は高校生四人を中心に据えた青春群青劇なわけですが、ここまで綺麗に、かつ少し切なく、そしてとてつもなく面白く青春を描ききってしまうことのすごさ、分かっていただけるでしょうか?
……そうですよね。そのすごさを私が説明するべきなんですよね。もちろん分かってますよ?
映画で青春を描こうとすると、二時間でおもしろくするために、どうしても恋愛に偏ったり、家族問題だけに特化してそれを解決することで感動を呼んだり、あるいは奇をてらった作品にしたり。そんな風に別れてしまいがちです。
が、ここさけは違いました。もちろん、成瀬順という女の子のおしゃべりが原因の一つとなり、家族がばらばらになるところから話は始まっていくのですが、家族問題に終始しないんですね。
高校生の複雑な心の問題を少しづつ解決していきながら、みんなで劇を作っていく。その過程で恋愛を良いスパイスとして絡めて、本当にうまくまとまっていました。
全体として一番感じたのは、世界観の綺麗さ。
必要以上に重くなりすぎず、それでいながらここさけの世界に、見ているものを引き込んでいく。
最初、卵の神様が綺麗な世界には違和感を持たせてしまっているような気がしました。しかし、あれを成瀬の心の中の葛藤だとすると、きちんと世界に馴染んでくれました。確かに成瀬の心の中での対話なのに、リアル悪魔のようなものを登場させても、それこそ違和感しかありませんしね。成瀬の心は非常にロマンチックで、何か不思議な世界観でした。それを頭に入れてみてみると、何度も出てきた「スクランブルエッグ」という言葉も納得できます。
映画を通して、葛藤しながらそれぞれの問題に対して、各個人がきちんと向き合って解決させていきながら、最後のところでもう一度かき混ぜる、「スクランブルエッグ」にするストーリーは本当にまさかと驚かされました。てっきりそのまま流されて終わりかと思いきや、そこはしっかり選ばせる。
……ネタバレなしに行こうと思ったのですが、無理なので諦めていいですか? いや諦めます。すみません!
はい話に戻ります。さっき何が言いたかったのかといいますと、この映画に出てくるもう一人のメインの女の子、仁藤のことを坂上が選ぶ、この展開が、ここさけをもう一段階面白くしている理由なんだと思います。
そして欠かせない田崎という男キャラ。彼の問題は他の三人と重なっているようであまり重なってはないんですね。でもそこを、軽く扱うこともなく、それでいて邪魔になるほど重くするのではなく見事しか言いようのない配分でした。
話がとっ散らかってしまいましたが、まとめです。
ここさけは甲子園を目指したり、家族崩壊のすべてを解決したりとかそんな壮大な物語ではありません。
しかしより身近な、本当に青春特有の綺麗さを私たちに見せてくれます。
視聴者の私たちは見た後、心が叫んだあとのように、何か晴れやかな気分になっています。
おあとがよろしいようなので、第一回はこの辺りにさせていただきます。少しづつ中身も充実していったらなと思います。
付き合ってくださった方、どうもありがとうございます。
また次回。失礼します。