第三回 <harmony/>
お久しぶりです。引き続きまして第三回は映画<harmony/>についてお話していこうと思います。
この映画は近未来を描いているんですが、その手のものの中でも少々異色を放っている映画だと私は考えました。
何が違うのか?
近未来を題材とした作品の多くは、人型ロボットがありふれた社会や科学が発展した社会と言うものを描いています。
ですがこの<harmony/>がメインで扱っているのは「ワォッチミー」という機器によって支配された社会について描いています。これの何がすごいかと言うと、ポストモダンのこれからをリアルに描いていると考えられるからです。
生まれた時から国に監視されて、国が良いと思う行為に終始する。国が望む行為をし、そうすることが正しいと信じられている世界。
個性がどうこうと叫ばれている今の世の中ですが、日本が向かっている未来はむしろこの<harmony/>の世界だと思います。
周りと違う行動をすることに非常に抵抗感をもつようになってきた、というのは否定しようがありません。周りと同じことをすると褒められ、そしてそうする方が楽です。
この流れでいくと、最後には国民全員が良いとされる規範に従い、同じ価値観を共有し、同じ行動をとるようになっていく。
この世界の流れを、主人公のトァンとその親友のミァハによって批判させていくのが<harmony/>と映画です。
ひとまず多くの国々で望まれた「自由」は獲得されました。
しかしその「自由」は少なくとも日本では理想郷になりえなかったことは今の日本人を見ていれば明らかです。全員が幸せだとは思えないからです。
もちろんだからと言って戦争をしようと言いたいわけではありません。
ですが確実に次の「理想」と思われるものへ向かっていかなければ、無気力な日本人は増えていく一方だと思います。
その答えの一つがこの<harmony/>の世界なんだと思います。私には作者と同じように、、この世界が良いと思えませんが。
しかしまだその答えは見つかっておりません。
日本のトップの人たちには、ただ政治をやるだけではなく、今後の道しるべになってもらいたいです。